商品名: N&D アンセストラルグレイン チキン(ザクロ入り)成犬用 (療法食)
メーカー:ファルミナ(Farmina)
◆ 原材料名
チキン生肉、乾燥チキン、スペルト小麦、オーツ麦、チキングレイビー、鶏脂、乾燥卵、魚油、ザクロ、ニンジン、リンゴ、ホウレンソウ、オレンジ、ブルーベリー、ウコン、アロエベラ、マンナンオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、グルコサミン、コンドロイチン硫酸、ビタミン類、ミネラル類、天然由来抗酸化物質
(※実際の表記は製品パッケージに準拠)
◆ 商品概要
N&D アンセストラルグレインは、イタリアのペットフードメーカーであるファルミナ社が展開する製品群の一つで、「犬本来の食性に配慮した栄養設計」をコンセプトとしている。
本製品はチキンを主原料とし、スペルト小麦やオーツ麦といったいわゆる「古代穀物」を炭水化物源として採用している点が特徴である。穀物を完全に排除するのではなく、消化性や栄養バランスを考慮しながら適量を使用する設計思想が示されている。
また、果物や野菜、プレバイオティクス成分を組み合わせることで、腸内環境や消化吸収への配慮も意図されている。
本製品は強い栄養制限を目的とした療法食というより、健康状態が比較的安定している犬に対し、日常管理や移行期の食事として利用されることを想定した位置づけといえる。
◆評価
原材料構成は動物性原料を中心とし、一般的な総合栄養食としての基本要件は満たしている。一方、生肉と乾燥肉を併用する設計であるため、実際の加工後重量や配合比率の詳細は読み取りにくい側面もある。
栄養設計は、たんぱく質を十分に確保しつつ脂質を過度に高めない構成で、体重管理や筋肉量維持を意識した設計となっている。疾患が進行した症例向けの強い制限療法食とは異なり、比較的幅広い症例に対応しやすい点が特徴である。
安全性の面では、製造管理や原材料選定に一定の基準が設けられており、日本国内では療法食の流通を日本全薬工業が担っている点も、安定供給や品質管理の観点から評価できる。
価格帯は高めであるが、研究背景や製品設計を踏まえると極端に不合理とは言い切れず、目的が合致すれば選択肢となりうる製品である。
◆5項目評価表
| 評価項目 | 星評価 | 評価理由(要点) |
|---|---|---|
| 原材料 | ★★★☆☆ | 動物性原料を前面に出しているが、生肉+乾燥肉併用による乾燥肉トリックあり。果物・ハーブ類は多いが配合比率不明で、栄養学的必然性は限定的。 |
| 栄養設計 | ★★★★☆ | 高たんぱく・中〜高脂質設計で活動量の多い犬向け。一般家庭の成犬・中高齢犬には過剰になりやすく、適応範囲は広いが最適化は甘い。 |
| 安全性 | ★★★★☆ | イタリア本社主導の研究・製造管理は評価できる。天然由来の酸化防止剤使用。ただし油脂量が多く、流通・保管面の酸化リスクは残る。 |
| コスト | ★★☆☆☆ | 明確にハイプライス帯。内容が悪いわけではないが、価格に対する“必然性”は弱く、継続性・費用対効果は高いとは言えない。 |
| 企業姿勢 | ★★★★☆ | 研究開発力は高く、日本では日本全薬工業が販売・管理を担っている。 |
◆総合評価:3.4
① 原材料に関するコメント
本製品は、チキンを中心とした動物性原料に加え、古代穀物(スペルト小麦・オーツ麦)を組み合わせた構成で、一般的な療法食と比べると原材料の質感や設計思想は比較的明確である。
生肉と乾燥肉を併用するいわゆる乾燥肉トリックの要素は含まれるものの、原材料の出自やカテゴリーは比較的整理されており、極端に不透明という印象は受けにくい。
一方で、果物・野菜・ハーブ類が多数含まれている点については、栄養学的な必然性よりも機能性・イメージ訴求の側面がやや強く、配合比率が明示されていない点は評価が分かれるところだろう。
総じて、療法食としては「過剰にシンプルでも、過剰に複雑でもない」中庸な原材料設計といえる。
② 栄養設計に関するコメント
N&D アンセストラルグレインは、療法食という位置づけでありながら、極端な制限設計ではなく、「健康状態が比較的安定している犬」を想定した穏やかな栄養設計が特徴である。
たんぱく質は十分量を確保しつつ、脂質は過度に高くならないよう調整されており、体重管理や筋肉維持を意識した構成となっている。
腎臓病など明確な疾患対応型療法食とは異なり、予防的・移行期的な位置づけで使いやすい設計である点は評価できる。
一方、全年齢対応に近い設計思想のため、疾患が進行した症例では専用療法食が優先されるべきであり、用途の見極めは重要である。
③ 安全性に関するコメント
Farmina社は研究開発体制や原材料検査を重視しており、製造工程の管理水準は国際的にも一定の評価を受けている。
酸化防止には合成保存料に依存しない設計が採用されており、安全性への配慮は見られる。
また、日本国内には物流拠点があり、療法食に関しては日本全薬工業が流通・管理を担っている点は、獣医療現場における信頼性の裏付けとして評価できる。
ただし、本製品は尿路疾患や腎疾患を直接管理する設計ではないため、療法食=万能に安全と誤解せず、対象症例を限定して使用する姿勢が重要である。
④ コストに関するコメント
本製品は1kgあたり価格が高く、療法食の中でもプレミアム寄りの価格帯に位置する。
ただし、研究背景・原材料設計・国内流通体制を考慮すると、価格だけが突出して不合理とは言い切れない。
一方で、長期継続を前提とした場合、家計への影響は無視できず、症例によっては同等の目的を果たせる他製品との比較検討も必要になる。
「高い=最善」ではないが、目的が合致すれば納得感のある価格帯という評価が妥当だろう。
⑤ 企業姿勢に関するコメント
Farmina社は大学・研究機関との連携を重視し、栄養学的エビデンスを前面に打ち出す企業である。
日本市場においても物流拠点を有し、療法食分野では日本全薬工業が販売・管理を担っている点は、サポート体制・安定供給の面で高く評価できる。
海外メーカーにありがちな「輸入任せ・説明不足」とは一線を画しており、獣医療現場との接点も比較的明確である。
一方、一般飼い主向け情報はやや専門的で、理解には一定のリテラシーを要する。信頼性は高いが、選ぶ側にも知識が求められる企業といえる。
