【目的】


本基準は、犬猫の「一般食(総合栄養食)」を科学的・中立的・臨床的・透明性のある方法で評価するための内部フレームである。書籍および Web レビュー記事における統一的かつ再現性のある品質評価を目的とする。

※療法食、補助食、おやつ、サプリメントについては別基準を設ける。


【全体構造:5つの主要評価項目】

一般食(総合栄養食)の評価は、以下 5 項目を用いる。

  1. 原材料(Ingredients)
  2. 栄養設計(Nutritional Design)
  3. 安全性(Safety)
  4. コスト(Cost)
  5. 企業姿勢(Corporate Responsibility)

各項目は ★1〜★5 で評価し、中立値は ★★★☆☆(3) とする。


項目① 原材料(Ingredients)

目的:
原材料の「実質的価値」と「表示の誠実さ」を評価する。
単なる「イメージの良さ」ではなく、栄養価 × 表示透明性 × 加工度 × 油脂の質の総合点で判断する。


評価基準(原材料)

評価判定基準
★★★★★動物性主体、割合明示、加工タンパクなし、飾り原料なし、油脂透明。
★★★★☆動物性主体、植物性タンパク少量、飾り原料なし、油脂明確。
★★★☆☆動物性+植物性混在。豆類多め、飾り原料、水増し表示あり。
★★☆☆☆加工タンパク主体、広義原料、不透明な油脂あり。
★☆☆☆☆植物主体、「肉類」「油脂類」など抽象度の高い原料中心。

【重要】減点ルール(原材料)

▲ 1. 生肉+乾燥肉トリック(水増し) → −1★
例:生肉20%+乾燥肉24% → 実質は乾燥肉主体。

▲ 2. 原料の順位操作(分割表記) → −1★
例:「肉類(〇〇、〇〇、〇〇)」など。

▲ 3. 加工タンパク質(プロテイン粉) → 中立〜減点

▲ 4. 飾り原料 → −1★
例:クランベリー、バナナ、トマト、海藻、マリーゴールドなど
(ごく微量で実質的な栄養価がないもの)


油脂の評価ルール

油脂は品質・安全性・透明性の核心であり、本基準では最も重視する要素のひとつとする。


加点(+0.5★)になる油脂

  • ひまわり油
  • 菜種油(キャノーラ)

〇 中立(0★)

  • ココナッツオイル
  • 亜麻仁油
  • 鶏脂(Chicken Fat)

軽度減点(−0.5★)

  • 牛脂(Beef Tallow)
  • 豚脂(Lard)

大幅減点(−1.0〜1.5★)

(もっとも望ましくない表示)

  • 動物性油脂(Animal Fat)
  • 油脂類(Oils / Fats)
  • 混合動物油脂(Mixed Animal Fat)

理由:原料不明、調達リスク回避目的、酸化リスク、品質不一致、嗜好性操作、アレルゲン特定不能など。

項目② 栄養設計(Nutritional Design)

最重要視するポイントは
「ライフステージ適合性(年齢一致性)」


評価基準(栄養設計)

評価判定基準
★★★★★年齢適合性が完全一致。栄養バランス優秀。
★★★★☆概ね良好。軽微な偏りあり。
★★★☆☆長短混在。豆類多い、年齢適合性にズレあり。
★★☆☆☆バランス不良。対象年齢と合わない。
★☆☆☆☆栄養設計として不適切。

年齢別ルール

🐕 若齢〜成犬(1〜6歳)

  • 高タンパク・中脂質が自然
  • グルコサミン/コンドロイチン/MSM → 不要(減点)

🐕 シニア犬(7歳〜)

  • 中低脂質
  • 消化性の高い動物性タンパク
  • 関節・認知機能成分 → 加点対象

項目③ 安全性(Safety)

人工保存料、着色料、酸化防止剤、加工工程など
**総合的な「食品安全性」**を評価する。


評価基準(安全性)

判定基準
★★★★★保存料・着色料・香料なし。酸化防止も天然由来。
★★★★☆人工保存料なし。加工は標準的。
★★★☆☆添加物あり、または表記が不明瞭。
★★☆☆☆着色料・保存料を複数使用。
★☆☆☆☆強い添加物を多用。安全性に懸念大。

項目4 コスト(Cost)

1日の実際の費用で評価する。

価格(1日)
★★★★★100円未満
★★★★☆100〜150円
★★★☆☆150〜200円
★★☆☆☆200〜250円
★☆☆☆☆250円以上

項目5 企業姿勢(Corporate Responsibility)

企業姿勢は、以下 4カテゴリを総合して評価する。


① 情報公開(Transparency)

  • ★★★★★:工場公開、製造工程開示、原材料トレーサビリティ完備
  • ★★★★☆:工場所在地・原料産地の明示
  • ★★★☆☆:必要情報は公開
  • ★★☆☆☆:情報が少ない・曖昧
  • ★☆☆☆☆:ほぼ非公開

② 安全文化・環境(Safety & Sustainability)

  • ★★★★★:ISO14001, ISO22000, FSSC22000取得
  • ★★★★☆:自社基準・安全方針公開
  • ★★★☆☆:標準レベル
  • ★★☆☆☆:安全に関する記述が少ない
  • ★☆☆☆☆:方針なし

③ 品質管理体制(Quality Control)

  • ★★★★★:自社工場・自社倉庫・ロット検査・HACCP
  • ★★★★☆:OEMだが QC 体制が明確
  • ★★★☆☆:工場公開・最低限の QC
  • ★★☆☆☆:工場非公開、QC 不明
  • ★☆☆☆☆:管理体制が確認できない

④ 企業規模・供給能力(Scale & Supply Stability)

  • ★★★★★:大規模企業、供給安定、リコール体制、日本法人あり
  • ★★★★☆:中規模、問い合わせ体制良好
  • ★★★☆☆:供給に若干の揺らぎ
  • ★★☆☆☆:小規模で供給不安定
  • ★☆☆☆☆:零細、供給・対応が不安定

最終の「企業姿勢★」は、この4カテゴリの総合点で決定する。


項目6 総合評価(Final Score)

“平均点”ではなく、致命的弱点を重視して総合評価を算出する。

例:

  • コスト ★1 → 総評は ★3 以下
  • 原材料 ★2 → 総評は ★2 前後
  • 安全性 ★5 でも、油脂が不透明なら総評は下がる

レビュー文章テンプレ(統一)

レビュー記述は以下 6 項目に統一する:

  1. 概要(Overview)
  2. 評価表(Rating Table)
  3. メリット(Pros)〔3つ固定〕
  4. 注意点(Cons)〔3つ固定〕
  5. 特筆事項(Remarks)
  6. 総評(Summary 100〜150字)