療法食の最大手、ロイヤルカナン社が2024年10月をめどに流通システムを大きく変えることが発表されました。
その内容は
1.D-Lineと呼ばれる動物病院専売商品と卸業社を通じた既存品の流通が、「ライフサポートセンター」と呼ばれるネット販売に1本化されます。
2.インターネット販売に関しては、認定を受けたネット販売業者のみ販売可能になります。
3.ネット販売も含めて、すべての療法食の販売に際して、各々のペットに毎に動物病院の登録が必要になります。
まだ我々もどうなるか明確なイメージが難しいですが、消費者側からすれば、
一言で言うと!
『AMAZON、楽天市場やYahooなどインターネットで、ペットフードを安く買う事が難しくなる』
です。
今までは、動物病院で食事療法が必要と診断をされ、「この療法食を食べてください」と言われて、何回かは動物病院で購入したものの、動物病院まで行くのが面倒、ネット販売の方が早くて安いからとの理由で、その後はネット通販サイトで購入してしまう。
残念ながらこんな事が出来なくなります。
背景には
- ネットでの安売り競争
- ペットの健康被害の問題
があります。
療法食のペットフードには、大きく「獣医師専用」と表記されています。すなわち、獣医師が個々のワンチャンや猫ちゃんの健康状態を見て処方するのが本来のあり方です。薬局で薬を買うのと同じ感覚です。獣医師には栄養指導料と言った名目で20%程度の利益が入ります。
一方ネット販売業者は、消費者がネット上で商品を選択する訳なので説明やアドバイスもいらないので、薄利で販売する事がほとんどです。
さらに仕入れ業者から大量仕入れ、大量販売による値引きや消費期限切迫引き取りなどを条件にさらにディスカウントを得られるため、極端な話、動物病院の正規の仕入れ値よりも安く流通している事すらあります。
消費者からすれば、同じ商品を簡便に安く買えるため、一見メリットがありそうですが、
病院で試供品をお渡しして、相談して一番良いフードを選んだ後に、
「ネットで買ってます!」
って、飼い主さんに言われると、正直がっかりしますね。
わたしは、処方した後も、「良くなったかなぁ?」、「食べてくれているかなぁ?」なんていつも心配しています。 つまり薬と一緒の感覚でお渡ししているので、効果を確認したいし、継続的に見直しもしたいと考えています。
ペットフードの継続購入はネットで!となると同程度の効果のペットフードであれば、動物病院側もネットで売っている商品は販売しないようにしようと考えるのが普通です。そうなるとペットフードのメーカーも困ってしまうわけです。メーカーも売れなくなるから、大口のネット業者に投げ売りをする。
悪循環ですね。
消費者にとっては、それよりも大きな問題、「健康被害」があります。
近年のペットフードは従来よりも進化しており、同時に2つの効能がある商品(D-Lineと呼ばれる動物病院専売商品など)やオーダーメイドなど多種多様化しています。
ペットフードの副作用が問題になっており適切なペットフードを食べていない場合、病状をさらに悪化させてしまう恐れがあります。よって定期的に獣医師がチェックを行い、最適なペットフードを処方する必要があります。
今回の新しい取り組みでは、ロイヤルカナン社と、輸入業者である共立製薬が認定した流通業者を通じてのみ療法食の販売がなされます。
これによりメーカー再度が、どの商品を○○病院に販売している、○○病院が、どのペットに処方していると、紐づけが可能になります。
消費者の声が、メーカーに届く仕組みが出来るだけで無く、万が一の品質保証などの問題があった場合も速やかに対応する事が可能になるでしょう。
長期的には消費者にもメリットのある話だと思います。
もちろん、あいペットクリニック稲毛獣医科では従来通り、動物病院の窓口で購入することや、金額に応じて送料無料で配送も承っています。