商品名：Purina Pro Plan LiveClear 成猫用 サーモン 1.5kg
◆ 原材料名
サーモン、米、コーングルテン、家禽ミール（オメガ６脂肪酸源）、牛脂、小麦、乾燥卵、タンパク加水分解物、大豆タンパク、フィッシュミール、チコリ、乳酸菌、ミネラル類（カルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、クロライド、鉄、銅、マンガン、亜鉛、ヨウ素、セレン）、ビタミン類（Ａ、Ｄ、Ｅ、Ｋ、Ｂ１、Ｂ２、パントテン酸、ナイアシン、Ｂ６、葉酸、Ｂ１２、コリン）、アミノ酸類（リジン、タウリン）、カラメル色素、酸化防止剤（ミックストコフェロール）
◆ 商品概要
Purina Pro Plan LiveClear 成猫用 サーモンは、米国発のプレミアムキャットフードの日本企画版のひとつで、魚（サーモン）を主たんぱく源とし、家禽ミールやコーングルテンミール、乾燥卵などを併用したドライフードである。米を炭水化物源に用い、一般的な穀物混合設計を採用。脂質やたんぱく質、ミネラル、タウリンなど、猫が必要とする基本的な栄養素を保証成分として明示。飼育環境によるアレルゲン対策として“LiveClear（リブクリア）” を銘打ち、卵由来タンパク質を利用して唾液中の主要猫アレルゲン（Fel d1）を中和することで、被毛やフケに付着するアレルゲンを抑える設計を特徴とする。また、プロバイオティクスや適切な脂質/ミネラルバランスにより、消化・皮膚・被毛・泌尿器の健康維持を図ることも意図されている。全年齢ではなく「成猫用（1才以上）」を想定したフードであり、日常給餌用の“総合栄養食”として市場に位置づけられている。
◆ 評価
まず原材料について、サーモンを第一主原料にしている点は肉食性の猫の食性に配慮した設計として評価できる。しかし「家禽ミール」や「コーングルテンミール」が併用されており、必ずしも高品質な肉主体フードとは言い切れない。保証成分としてタンパク質・脂質・タウリン・ビタミン・ミネラルが明示され、エネルギー密度も高く、成猫の維持期には十分な栄養供給が期待できる。栄養設計は総合栄養食として成立しており、AAFCO あるいは同等の国際基準に準拠している可能性が高い点も安心材料だ。ただし「全年齢」「泌尿器ケア」「老齢猫ケア」などの特殊設計は見られず、あくまで“標準的な成猫維持用フード”という位置づけである。安全性面では、合成着色料や不要な添加物は少ないが、家禽ミールの原料構成やトレーサビリティについては公開情報が限られ、長期給餌時のリスク管理には注意が必要。コストは品質を考慮すれば妥当だが、最上級プレミアムとは言いづらい。企業としては国際ブランドで安定供給網があるものの、日本国内での成分改定情報やロット管理の透明性は限定的で、最高ランクの“研究・保証型フード”とは一線を画す。
③ 5項目評価
| 項目 | 評価 | 理由 |
|---|---|---|
| 原材料 | ★★★☆☆ | サーモン主原料は良いが、ミール混合で肉主体とは言い切れない。透明性に改善余地。 |
| 栄養設計 | ★★★★☆ | 総合栄養食として、成猫の維持に必要な栄養バランスを確保。泌尿器・老齢対応は限定。 |
| 安全性 | ★★★☆☆ | 過剰添加や合成臭素が少ないが、原料の詳細公開やトレーサビリティに不透明さあり。 |
| コスト | ★★☆☆☆ | プレミアムフードの中でも高め。飼い主側のアレルゲン暴露を減らすための機能の有無がポイント |
| 企業姿勢 | ★★★★☆ | 国際ブランドで研究・供給体制が安定。アレルゲン対策など付加価値を明示。 |
総合評価：★★★☆☆（2.9 / 5）
◆ ① 原材料に関するコメント
第一原料がサーモンである点は良いものの、実態としては「サーモン＋ミール＋植物タンパク」の典型的な混合タンパク設計。特にコーングルテンミールは“安価にタンパク質量を底上げする目的”でよく使われる原料で、肉食性の猫の生理に最適とは言い難い。家禽ミールも原料の種類・部位が公開されておらず、トレーサビリティが限定的。「LiveClear」というアレルゲン低減機能は魅力だが、卵由来タンパク質を追加することで成分構成はさらに複雑化し、食物アレルギーが懸念される猫には不向きとなる場合もある。総じて「悪くはないが、透明性の高いプレミアムフードと比べると一段劣る」印象で、サーモン主体のイメージほど“肉感”は強くない。
◆ ② 栄養設計に関するコメント
総合栄養食としての基準は満たしており、成猫向けの高タンパク・高エネルギー設計は一定の評価ができる。しかし、全年齢ではなく“成猫用”として設計している割には、泌尿器ケア・毛玉ケア・肥満管理などの典型的な成猫ニーズへの踏み込みは弱い。LiveClear 機能が目立つ一方で、栄養学的な特徴に大きな差別化はなく「機能性マーケティングに寄った印象」。ミネラル設計（特にマグネシウムやリンの比率）は一般的だが、長期給餌における泌尿器リスク軽減を積極的に示すデータまでは開示されていない。健康な成猫の維持には問題ないが、腎臓・尿路の既往歴がある猫に対しては慎重に評価すべき。
◆ ③安全性に関するコメント
明確な着色料や不要な保存料が少ない点は評価できるものの、家禽ミールとコーングルテンミールという“原料の不透明性”が安全性の足を引っ張る。ミールは品質に幅があり、栄養価としては十分でも、原料の管理やロット差が問題になりやすい。Purina は巨大企業のため一定の品質管理は期待できるが、日本向けにローカライズされた製品の詳細なトレーサビリティ情報や製造工程はほとんど公開されていない。さらに LiveClear 特有の卵タンパク質処理が、食物アレルギーを持つ猫にどう影響するかの情報は限定的。一般猫には大きな危険はなくとも「全成分の透明性・比較データ提示」という面では、より上位のプレミアムブランドと比べると一歩劣る。
◆ ④ コストに関するコメント
1.5kgで5,000円台（1kgあたり約3,300〜3,600円）は、プレミアムフードの中でも高めで、コスト面の強みはほぼない。特に原材料の中心が“サーモン＋ミール＋穀類”という構成であることを考えると、内容と価格のバランスでは割高感が否めない。アレルゲン低減機能（LiveClear）の付加価値をどう評価するかが価格妥当性の鍵だが、これは「猫自身の健康メリット」ではなく「飼い主側のアレルゲン暴露を減らすための機能」であり、実質的に飼い主向けの商品設計。栄養学的に突出したプレミアム要素があるわけではなく、原材料の透明性も平凡であるため、3,000円/kg 超で長期給餌する合理性は、場合によっては弱い。
◆⑤ 企業姿勢に関するコメント
Purina（Nestlé）は世界最大規模のペットフード企業であり、研究施設や栄養データの蓄積は非常に豊富。その意味では品質基準は安定している。しかし一方で、巨大資本ゆえの情報開示の限定性や、ミール原料の品質幅、原材料調達の透明性不足など、個々の製品の詳細トレーサビリティは弱い。LiveClear については独自研究を公開しているものの、日本市場向け製品の成分調整や製造ロット情報は限定的で、臨床現場での安全性評価を行う獣医師目線では「信頼度は高いが情報量は少ない」印象。また、海外主導の製品開発であり、日本の飼育環境や疾病傾向に特化した最適化は見られにくい。