メーカー:公式サイト(MogWan)
価格(税込):公式通販で 1.8 kg 約6,000円前後(販売形態により変動)

◆ 原材料名

チキン&サーモン56.5%(放し飼いチキン生肉 21%、生サーモン 12%、乾燥チキン 12%、乾燥サーモン 7.5%、チキングレイビー 2%、サーモンオイル 2%)、サツマイモ、エンドウ豆、レンズ豆、ひよこ豆、ビール酵母、アルファルファ、ココナッツオイル、バナナ、リンゴ、海藻、クランベリー、カボチャ、カモミール、マリーゴールド、セイヨウタンポポ、トマト、ショウガ、アスパラガス、パパイヤ、グルコサミン、メチルスルフォニルメタン(MSM)、コンドロイチン、ミネラル類(亜鉛、鉄、マンガン、ヨウ素)、ビタミン類(A、D3、E)、乳酸菌

◆ 商品概要

MogWan は「手作りごはんの発想」をもとに開発されたドッグフードで、主原料にチキンとサーモン(または魚類)を使用し、50%以上の動物性たんぱく源を確保。穀物を排したグレインフリー設計で、穀物アレルギーのリスクを避けたい犬にも配慮されている。加えて、ビタミン・ミネラル・乳酸菌などを含み、総合栄養食の基準を満たすよう設計されているとされる。香料・着色料を使わず、着色料・香料不使用・無添加をうたっており、消化のしやすさ、皮膚・被毛の健康、全体的なコンディション維持を目指す飼い主のニーズに応える内容をアピールしている。

◆ 評価

MogWan は高たんぱく・比較的低脂質で、鶏肉と魚の複合たんぱく源により栄養バランスを確保しようという意図が明確だ。たんぱく質27%以上、脂質10%以上、100g あたり約361.5kcal という成分値は、成犬の維持期にはおおむね適合。特に筋肉量の維持や皮膚・被毛の健康、体重管理を意識する成犬・中高齢犬に向いており、去勢後・避妊後や肥満傾向がある犬にも有利と考えられる。一方で、栄養設計はやや高タンパク重視であるが、脂肪・エネルギー量は控えめのため、子犬の成長期や運動量の多い犬、大型犬には物足りなさが残る可能性がある。また、原材料表示の透明性や、添加成分の種類および安全性裏付けは限定的であり、「グレインフリー」「無添加」「ヒューマングレード」という言葉だけで安全性を過信するのは避けるべきである。さらに、価格はやや高めで、継続的な給餌を考えるとコスト的な負担も無視できない。

◆ 5項目評価

項目評価コメント
原材料★★★☆☆チキン + サーモン主体、穀物不使用。だが部位や配合比率の詳細な開示はない
栄養設計★★☆☆☆成犬〜中高齢犬向けの高たんぱく設計。だが子犬/高活動犬には不足の可能性あり
安全性★★★☆☆無添加・グレインフリーをうたうが、添加成分の安全性や製造管理の詳細は限定的
コスト★★☆☆☆高品質だが、1kgあたりのコストは割高で、継続性には注意が必要
企業姿勢★★☆☆☆“健康第一”“自然派”を強く打ち出すが、情報開示の透明性にやや課題あり

◆ 総合評価:2.5 ★★★☆☆(中評価)


詳細

◆ ①原材料に関するコメント

MogWan の最大の問題点の一つは、公式サイト上での「原材料の見せ方」と、実際の配合順・配合実態に乖離がある点である。ホームページでは「フレッシュチキンとサーモンを贅沢に使用」と強調し、大きなチキンの写真や“新鮮な素材を使った手作り感”が前面に押し出されている。しかし原材料表を見ると、最初に記載されているのは 乾燥チキン であり、これは水分を飛ばした濃縮たんぱく源で、フレッシュミートより重量換算で有利になるため、常に“先頭に表示されやすい”特性を持つ。これはペットフード業界でよく議論される 「乾燥肉トリック」 の典型例であり、見た目のイメージほどフレッシュミートが多く使われているとは限らない。特に、フレッシュチキンの割合が明示されていない点や、動物性原料の実質的比率が公開されていない点は、透明性に欠けると言わざるを得ない。メーカーが強く訴求する“手作り食風”のイメージは、マーケティング要素が大きく、原材料の実態を正確に反映していない可能性が高い。


◆② 栄養設計に関するコメント

MogWan の成分表を見ると、たんぱく質27%以上、脂質10%以上、エネルギー約361.5 kcal/100g — 成犬の維持期にはおおむね適合する値だ。 また、魚由来の脂肪酸やココナッツオイル、海藻、野菜・果物由来のビタミン・ミネラルなどを配合し、皮膚・被毛・腸内環境を気遣う設計としては一定のバランスを持つ。 しかしながら、MogWan は「全犬種・全年齢対応」をうたう一方で、この栄養設計は 成犬~中高齢犬に最も適したもの であり、子犬の成長期に必要とされる高脂肪・高カロリー、高たんぱく構成とは言い難い。また、運動量の多い犬や大型犬では、必要なエネルギーを確保するために給餌量が増え、結果として “栄養価/コスト比” がよくない。さらに、関節ケア成分が入っているとは言え、それはあくまで補助的な役割に過ぎず、全年齢対応を名乗るには無理がある。つまり、栄養設計は “万能” ではなく、“ある条件の犬” にだけ最適化されたものであり、全年齢対応という表示は誤解を招きやすい。


◆ ③安全性に関するコメント

MogWan は「無添加」「着色料・香料不使用」「グレインフリー」「ヒューマングレード原料使用」を掲げることで安全性をアピールする。 しかし「無添加」「ヒューマングレード」という文言は、法的な定義や独立機関による認証ではなく、メーカーのマーケティング用の言葉にすぎない可能性がある。特に懸念されるのは、「魚肉・鶏肉の供給元の鮮度・部位・処理過程」が不明である点、および海外製造であることによる輸送・保管の過程での劣化リスクだ。MogWan はイギリスなど海外で製造され、日本に輸入される形態で流通するようであり、輸入ペットフードにありがちな“原料・製造・保存の追跡性の不透明さ”を抱えている。さらに、使用される油脂(サーモンオイル、ココナッツオイルなど)が酸化しやすい性質なら、開封後の保存管理が適切でなければ、酸化脂質による健康リスクも否定できない。これら安全性に関わる根拠が公開されていない点は、「無添加」「グレインフリー」といった言葉で安心させようとするマーケティングの典型と言える。


◆ ④コストに関するコメント

MogWan の価格は、1.8kgで約6,000円前後、つまり 1kgあたり約3,300円〜4,000円前後になる。 一般的なドッグフードと比べてかなりの高価格であり、コストパフォーマンスには大きな疑問符がつく。特に、栄養設計が子犬や超高活動犬に最適化されていないにもかかわらずこの価格であるなら、“高価格=高栄養価”という幻想に支えられた販売である可能性が高い。加えて、もし給餌量を多めにしなければならない成犬や大型犬の場合、コスパはさらに悪化する。また、通販専売であるため、送料や在庫状況、定期購入の割引条件など、コスト以外の“継続性コスト”も考慮する必要がある。総合的にみると、MogWanは「プレミアム感」による価格設定であり、中身と値段とのバランスでは割高と評価せざるを得ない。


◆ ⑤企業姿勢に関するコメント

MogWan の販売形態と企業基盤を冷静に見ると、ペットフードメーカーとしての研究体制・獣医学的支援体制が十分とは言い難い。日本国内での販売は主に商社が担当しており、公式サイトの問い合わせ窓口を見ても、栄養学・獣医学の専門知識を持ったスタッフによるサポート体制が整っているか疑問が残る。また、製品の設計・開発はすべて海外(主に欧州)で行われており、日本の犬の生活環境・体格・飼育文化に最適化された研究データが存在しない点も問題である。さらに、公式情報からは、原材料の品質保証・安全性試験・栄養バランスの根拠など、科学的エビデンスに基づく裏付けがほとんど示されていない。企業としては“自然派・無添加・手作り感”を強く打ち出しているが、実際には イメージ先行型のブランド戦略に依存しており、科学的透明性の不足が目立つ。 価格帯が高いにもかかわらず、より厳密な品質保証体制や専門家監修が不十分である点は、消費者保護の観点からも改善が求められる部分である。