メーカー:株式会社トリゼンダイニング
URL:https://umaka.pet/
価格(税込):6,092円(1.5kg)
1kg換算価格:約4,061円
◆原材料名
鶏肉、玄米、大麦、かつお節、大豆、ビール酵母、チキンエキス、米油、卵黄粉末、発酵調昧液、フラクトオリゴ糖、りんご、にんじん、かぼちゃ、昆布、しいたけ、コンドロイチン、セレン酵母、しょうが、ビフィズス菌、グルコサミン、L-トレオニン、ミネラル類(牛骨カルシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、グルコン酸亜鉛、ピロリン酸第二鉄、グルコン酸銅)、ビタミン類(ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンB2、ビタミンB12、パントテン酸カルシウム)
◆ 商品概要
UMAKA(うまか)は、九州産ブランド鶏「華味鳥」を主原料とし、国産素材と“無添加”をコンセプトに掲げるプレミアムドッグフードである。公式サイトでは、使用される鶏肉を人が食べられるレベルの品質と紹介し、国産野菜・穀類をバランスよく配合した総合栄養食として位置づけている。また、保存料・着色料・香料を使用しない点を強調し、人用食品工場基準での製造をアピールすることで高い安全性を訴求している。粒のサイズや香りにも配慮し「食いつきの良さ」を特徴として提示しており、特に小型犬の飼い主向けのメッセージが多い。さらに「全年齢対応」と表示し、幼犬からシニアまで幅広く使用できるフードであると説明している。これらの主張は、国産志向・無添加志向の飼い主が求める安心感を満たす方向性で統一されている。
◆ 評価
本書基準に基づき評価すると、UMAKAはメーカーの主張とは異なり、実質的な透明性に欠ける部分が多い。まず、主原料である「鶏肉」は部位・割合が明示されておらず、動物性原料の品質評価ができない。人用食品工場併設という訴求も、ペットフードとしての安全性保証にはならず、科学的裏付けの乏しいイメージ要素に留まる。
また、脂質・カロリーの低さから、本来幼犬が必要とする栄養基準を満たさないにもかかわらず「全年齢対応」と表示している点は食品表示の整合性として問題があり、明確な減点対象である。さらに、グルコサミン・コンドロイチンを日常食に添加しつつ全年齢で使用可能とする設計は不自然で、設計思想に一貫性が見られない。1kgあたり約4,061円という価格は一般家庭にとって負担が大きく、継続性の面からコストパフォーマンスは低い。総じて、ブランドイメージを重視した構成に比べ、実質的な内容は中程度であり、慎重な評価が必要である。
◆5項目評価
| 項目 | 評価 | 理由 |
|---|---|---|
| 原材料 | ★★★☆☆ | 部位・割合が不透明、動物性原料の実質が不明 |
| 栄養設計 | ★★★☆☆ | 成犬向け。全年齢表示の整合性に問題 |
| 安全性 | ★★★☆☆ | 無添加主張の根拠弱。製造工程の明示不足 |
| コスト | ★☆☆☆☆ | 1kg約4,061円で最下位評価が妥当 |
| 企業姿勢 | ★★☆☆☆ | 表示の透明性・科学的根拠の不足 |
◆総合評価:2.60 → ★★★☆☆(中評価)
重み付け
- 原材料 3 × 0.30 = 0.9
- 栄養 3 × 0.25 = 0.75
- 安全性 3 × 0.20 = 0.6
- コスト 1 × 0.15 = 0.15
- 企業姿勢 2 × 0.10 = 0.20
合計:
0.9 + 0.75 + 0.6 + 0.15 + 0.20
= 2.6
【詳細】
◆ ① 原材料に関するコメント
UMAKAの原材料表示で最も問題となるのは、主原料である「鶏肉」の具体性が著しく欠けている点です。メーカーは「華味鳥」というブランド名を強調しますが、ペットフードに使用されている部位・品質・割合については一切明示されていません。例えば胸肉・ささみなどの高品質部位なのか、皮・脂肪・内臓・加工端材を含むのかすら不明で、ブランド名だけで中身の実態を判断することはできません。本来の高品質フードであれば、動物性原料の「部位」「割合」「加工状態」を開示するのが標準ですが、その情報が欠如しているのは大きなマイナス評価です。また、穀類として玄米・大麦を使用している点は一見良質ですが、それらの配合比率も不明で、実質的に穀類主体のフードである可能性も否定できません。総じて“国産・ブランド肉”というイメージに依存しており、原材料の透明性という点では不十分な製品と言えます。
◆ ② 栄養設計に関するコメント
UMAKAは「全年齢対応」と表示されていますが、これは栄養学的な観点から見て誤解を招く表記です。幼犬に必要なタンパク質量・脂質量を満たしておらず、特に脂質10%前後という低さは成長期の犬には完全に不適合です。にもかかわらず全年齢向けを名乗るのは、マーケティング優先の表示と判断せざるを得ません。また、グルコサミンやコンドロイチンといった“シニア向け成分”を配合しながら、「幼犬にも」と案内する矛盾も目立ちます。関節サポート成分はシニア犬には一定のメリットがあるものの、成長期の犬に継続投与する必要性は低く、むしろ「全年齢向け」を主張したいがための装飾的な添加に見える点が不自然です。さらに、エネルギー量345kcal/100gは控えめで、活動量の多い犬や中〜大型犬では給餌量が増え、結果としてコスト効率の悪化につながります。栄養設計の思想が“誰に最適化したいのか”不明瞭で、一貫性の欠ける構成と言えます。
◆ ③ 安全性に関するコメント
メーカーは「無添加」「ヒューマングレード」を繰り返し強調していますが、これは食品マーケティングとしての訴求に過ぎず、科学的な安全性の保証とは言えません。まず、“無添加”という言葉には法的定義がなく、酸化防止処理の方法や油脂の品質管理について説明が不足しています。低温製法でオイルコーティングをしない点を“安全性の高さ”とする主張もありますが、これは製法上できないだけであり、安全性のプラス材料ではありません。また、人用食品工場併設という点も、ペットフードに使われる部位の品質・衛生基準を直接保証するものではありません。特に人用として不適合となった部分が回る可能性については、製造工程の透明性が提示されていない以上、慎重に見る必要があります。さらに、栄養添加物の有無や微量成分の安全性についての第三者データが公開されておらず、“安全性の証明”ではなく“安全性のイメージ”で販売している側面が強く見られます。
◆ ④ コストに関するコメント
UMAKAの価格は1.5kgで6,092円、1kg換算で約4,061円となり、市場でもトップクラスの高価格帯に属します。一般的な総合栄養食の平均価格帯(1kg 1,000〜2,000円)と比較すると約2〜4倍であり、内容に対する費用対効果を慎重に判断すべき価格設定です。特に栄養設計が高タンパク・高脂質の“高栄養価フード”ならまだしも、本品は中タンパク・低脂肪・低カロリーの構成であり、価格に見合う栄養価があるとは言い難い点が問題です。さらに、活動量の多い犬や中型犬〜大型犬では給餌量が増え、実際の費用負担はさらに跳ね上がります。国産・華味鳥ブランド・無添加といった“イメージ価値”に依存した高価格設定であり、原材料の透明性が不足している現状では価格が正当化されているとは評価しにくい製品です。“高い=良い”という誤解を避けるためにも、価格と中身を冷静に比較する必要があります。
◆ ⑤ 企業姿勢に関するコメント
企業姿勢で最も問題となるのは、表示の整合性と科学的根拠の提示不足です。「全年齢対応」と表示しながら、実際の栄養設計は幼犬の基準値に達しておらず、関節サポート成分を強調したりと“誰向けなのか分からない”メッセージが混在しています。これは飼い主に誤解を与える可能性が高く、企業としての説明責任に欠ける部分と言えます。また、原材料の詳細、使用部位、製造工程の明確な説明がなく、ブランド肉を前面に押し出す一方で科学的・客観的な裏付けの情報が少ない点も評価を下げる要因です。安全性に関する第三者データ、栄養試験、長期給与試験なども公開されておらず、科学的エビデンスではなく“イメージ主導のマーケティング”に依存した企業姿勢が見える点は批判的に捉える必要があります。消費者の不安に寄り添う姿勢は評価できますが、その一方で情報開示の不足は改善余地が大きいと言えます。
